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ストーカーはなぜ追いかけるのか?ストーカーの心理的特徴と対策方法

ストーカーはなぜ追いかけるのか?ストーカーの心理的特徴と対策方法

去る2020年11月24日で「ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)」が施行から20年を迎えました。

同法はこれまで2度改正され、違反すると懲役刑を含む罰則がある禁止命令を警告なしに出せるようになり厳罰化の流れは加速していると言えます。
厳罰化の流れにより、ストーカー行為がエスカレートして最悪の事態を招く前に対処できたり、『この行為は犯罪である』とした規範意識も高まったように思えます。

ですが厳罰化や規範意識の高まりをもってしても警察庁統計によれば、
平成29年 2万3079件
平成30年 2万1556件
令和元年 2万912件
と現在も年間2万件を超える被害相談件数があります。

人はなぜストーカーとなるのか。
もし被害に遭ってしまった時にはどうすれば良いのか。

今回はストーカーの心理的特徴、万が一被害に遭った際にどんな対策をすれば良いのかを解説します。

そもそもなぜストーカー行為を働くのか

ストーカーの心理分類

心理的背景は複雑ですが、ストーカーの心理分類は次の4つに分ける事ができます。

「親密追求型」
相手と相思相愛になることを強く願い、一方的に自分の好意を押し付けるタイプです。
相手が理想の異性であると妄信的に考え、自分の孤独などを救ってくれるのは相手しかいないと縋りつきます。
自身に欠けているものを他人に求めるタイプとも言えるでしょう。
ストーキング対象に対して保護者のような愛情を求めて追いかけてきます。
「無資格型」
人格障害などの精神疾患を患っているストーカー。
相手の立場を考えずに、自分の欲求ををぶつけるためにストーキングに及びます。
病識が無いので基本的に自分がおかしいとは思っておらず、罪悪感を全く感じていないのが特徴で、相手は自分の欲求に応えるべきだと考えています。
「憎悪型」
ほとんど知らない人や親しくない人に対し、恐怖や混乱させることを目的にストーキングを行うタイプです。
本当に些細な出来事で「自分は被害者」であると考え、ストーキングするのは当然だという身勝手な暴論でストーカーとなります。
自身のストレスの発散を対象者にぶつけてくるタイプと言えます。
「拒絶型」
元交際相手等が、拒絶されること(フラれる等)でストーカーになるのが「拒絶型」です。
ストーカーで最も多いタイプがこの「拒絶型」で、最初はよりを戻そうとしていますが、最終的には逆恨みして「復讐」するために追いかけてきます。

ストーカーの心理的特徴

◆コミュニケーション能力に問題がある
ストーカーは
「他者への執着心」
「被害者意識」

などが異常に強く、コミュニケーション能力・共感能力等健全な人間関係を構築する能力に難がある傾向にあります。
そのためごく普通の会話をしていても自分の中で歪な情報処理をして怒りを溜め、身勝手な被害者意識を醸成したり、自分の納得いく答えしか受け付けず一方的に感情を他人にぶつけてきます。
非常に身勝手で自身を客観視する能力にも著しく欠けるので自身の異常性が理解できません。
そのため常軌を逸した回数の電話やメール、LINE、執拗なつきまとい等のストーカー行為のみならず、そもそ人間関係において一方的に善意や好意を寄せて行動する事自体が迷惑行為であると認識していません。
◆自分が傷つく事は絶対に許さないが、他人を傷つける事は平気
基本的には自分に自信がなく、傷つくことを異様なまでに恐れ、身勝手で共感能力に乏しい等人間関係を構築し維持する能力が低く、被害者意識が非常に強いのが特徴です。
自分に自信が無いが故に他人への執着心が強く、一方で他人の感情等を読む事はできず、おかしな解釈で他人を(一方的に)評価します。
挙句の果てには些細な出来事で勝手に傷つき、被害者意識が強いため「自分の時間(人生)を奪われた」等と逆恨みし「奪われたものを奪い返すため」にどこまでも追いかけてくるのです。

ストーカー被害にあった際は

被害状況の記録をする

被害を受けた場合は、まずは状況・内容を記録、保存しておく事が重要です。
場合によっては見るのも不快ですぐに捨てたり削除したくなるものもあるかもしれません。
ですが、被害状況の詳細な記録や証拠がある事で警察や弁護士等への相談がスムーズになります。
録音や録画、メール等のスクリーンショット、送り付けられた物の保存等はしっかり行っておきましょう。

ハッキリと拒否を示す

執拗な面会や交際の要求は必ずハッキリと拒否をします。
少しでも曖昧な態度を取ると、相手は自分の都合の良いように解釈するので被害が長期化したり深刻化します。
「私は」ストーカー行為を受けて「怖い」「苦しい」「苦痛である」「嫌だ」等ハッキリと拒否、嫌悪を示します。

ただし、怒りに任せて「あなたは〇〇だ」と決めつけた言い方をしてしまうと相手が逆上する可能性もあるので注意は必要です。

自宅等の対策

自宅のドアや窓は二重鍵、ドアスコープ等を取り付ける等で物理的に侵入される可能性を減らします。

またこれは普段から気を付けたい事でもありますが、SNSに自身の生活状況が分かる情報、特に写真の安易なアップは控えましょう。
ストーカーはターゲットのSNSを閲覧している可能性が高く、安易に情報を発信する事で嫉妬心や怒りを煽り、被害が激化する可能性もあります。

この他に普段からできる対策としては以下のようなものがあります。
・ごみを捨てる際は、郵便物等個人情報が記載されている書類等はマジックで黒く塗りつぶしてから細かく裁断し、生ごみに混ぜて捨てる
・カーテンは遮光性の高いものを選び、在宅時はきっちりとカーテンを閉め室内の様子を伺えない様にする
・自宅のドアを開ける際は周囲に注意を払う
・帰宅のルートをたまに変える
・音楽等を聴きながら歩くのは周囲への注意が散漫になるので、夜遅い時間帯に帰る際は控える
・防犯ブザー等の防犯用品を持ち、いざという時はためらわず使用し助けを求める

最も大切なのは専門家への相談


ストーカー対策で最も大切なのは警察を始めとした専門機関への相談です。
ストーカー被害に遭った際、まずは警察に相談するのがベストですが場合によっては警察以外の相談先も把握しておく事も大切です。
警察以外の相談先としては、弁護士、自治体の男女共同参画センター等があります。
加害者が誰なのかハッキリしない場合は探偵等に依頼し、加害者を特定してもらってから警察に相談するとより素早い対策に繋がります。
また専門機関以外にも家族や勤務先、学校等に被害に遭っている状況は伝えておきましょう。
これはストーカーはターゲットの関係者に接触して情報を得る場合があるのでそれを事前に防止するためと、親や上司、先輩等から厳しく注意される事で被害が止む事もあります。
被害に遭ってしまった場合は1人で解決しようとする事は絶対に避け、躊躇わず専門機関へ相談し対応策を講じましょう。

注意点

ただし警察からの警告等で一時的にストーカー行為が止まったとしても素人判断で油断をしてしまうのは危険な事もあります。
特に元交際相手からのストーカー被害を受けている場合
「相手を悪者にしたくない」
「(しばらくどこかに避難する等して)やり過ごせれば安全」
といった心理が働き、実際はストーカー行為が続いているあるいは再開しているにも関わらず警察への報告をためらってしまう事があります。
警察は被害者本人から「もう大丈夫」と言われてしまうと対応を継続する事が難しく、誰にも相談できないまま最悪の結末を迎えてしまう可能性もあります。
仮に長期間接触が無くなったとしても、素人判断で安心するのは危険な場合もある事は頭に入れておきましょう。